「泣いた赤鬼」が出来るまで 音楽詩劇 「泣いた赤鬼」 名作民話より 時間」約17分
物語に作画を加えて見ました。
原作 浜田廣介
作詞 神藤房江
作曲 板見信一
作画 関口賢輔
構成 ﾍﾞﾈﾙﾃﾞｨﾏﾝﾄﾞﾘﾝｸﾗﾌﾞ
intoro音楽(Allegro)
A 音楽(Andante)
語り
昔々 ある山奥に 目はギョロッとして大きくて 頭にどうやら角らしきとがったものがあるけど 絵本に書いてあるような 怖い鬼とはちょっと違う やさしい赤鬼がおりました。
B 音楽(moderato)
歌b１ 僕は鬼に生まれたが 出来ることなら人間と 仲良く暮らしていきたいな それが僕の夢なのさ 語り この赤鬼はいつも人間と暮らしていきたいと思っている 少し変わっている赤鬼です。 歌b2 心のやさしい鬼の家 おいしいお菓子もございます お茶もわかしてございます どなたも遊びにきてください 歌b3 心のやさしい鬼の家 おいしい肴（さかな）もございます お酒も用意してございます どなたも遊びにきてください C 音楽(moderato)
語り 赤鬼はある日 人間が自分の所へ皆んなが遊びに来てくれる様 やさしいカナ文字で書いた 大きな立て札を 皆んながいつも通る道端に立てました。 D 音楽(Piu mosso espressivo 〜Andante)
語り お〜い「赤鬼が立札をたてたとぞ」 エ〜「なんと書いてあるんだい」 「赤鬼の家へ遊びに来てください）と書いてあるよ、、 だが 村人達はあっちでコソコソ こっちでコソコソと 只 噂しあっているだけで 誰も行きません E 音楽(Moderato)
歌１ 待てど暮らせど誰も来ない そんな自分がやるせない どうして遊びに来ないんだろか ごちそうも沢山あるのに F 音楽(Moderato)
語り 待てど暮らせど 人間はさっぱり遊びに来ないので 気短な赤鬼は腹をたてて せっかく作った立札を引き抜き 二つにへし折って 地べたにたたきつけました。
語り そこへ来たのが 山一つ超えた向こうに住んでいる青い鬼でした。 「あはは、、な〜に そんなに怒っているんだい、、」 きまり悪げに赤鬼は これしかじかと 今までの事を青鬼に話しました。 G 音楽（Leggiero moderat moss)
語り 話を聞いた青鬼は 少し考えて ん、、 「そうだ僕 いい事考えた」 「ちょっと耳を貸してごらん」と 何かゴソゴソとささやきました。 そうして 嫌がる赤鬼をひきつれて 青鬼は ふもとの村へと 出かけて行きました。
語り それから少したって ふもとの村は大騒ぎ ある一軒の家の前に のっそり立った青鬼が 早速 茶碗やお皿、鍋等を 手当たりしだいに 投げつけているでは有りませんか。
語り そこへ赤鬼が駆けつけて来て 「この乱暴者め よさないか」と 言うが早いか げんこつで青鬼をポカリと打ちました。
すると青鬼は赤鬼に「もっとポカポカと やるんだよ」と 小声で耳打ちしました いわれた赤鬼はしかたなく 又 ポカポカと打ちました。 H 音楽（Andante)
語り どうなる事かと物陰から おっかなびっくり覗いていた村人達は 赤鬼が乱暴者の青鬼を こらしめる様をハッキリ見ていました。
語り 「鬼は乱暴者と思っていたけど 不思議だな〜、 あの赤鬼は違うな〜」と 村人達は安心してその日のうちに 赤鬼の家へ遊びに出かけて行きました。
I 音楽（Allegretto) 歌(踊りの歌）１〜３
我等の赤鬼 皆んなで踊ろう 我等の赤鬼 皆んなで歌おう 笛を吹けば タイコが鳴る 踊ろう歌おう 夜の更けるまで 美味しいお酒を 皆んなで飲もう 美味しいお菓子を 皆んなで食べよう 笛を吹けば タイコが鳴る 飲もう食べよう 夜の更けるまで 我等の赤鬼 皆んなで語ろう 我等の赤鬼 皆んなで励まそう 笛を吹けば タイコが鳴る 皆んなで楽しもう 夜の更けるまで
K 音楽（Andante)
語り 村へ帰った村人達は 鬼の家の心地よさ 美味しいお酒 お菓子のその味を 誰もかれも褒めたので 三人五人と連れ立って 毎日 赤鬼の 家へ訪ねて行きました。 L 音楽（Andante)
語り こうして赤鬼は 人間の友達が沢山出来きました けれども日がたつにつれて 胸の奥にポツ〜ンとひとつ 心配なことがあるのに気が付きました すると いてもたっても 居られなくなりました。 L 音楽（Andante)
語り ある日 とうとう決心した赤鬼は 戸口に「今日は留守です」と張り紙をして 夜の明けるのを待ちかねて 山を越え 谷を越え 青鬼の家へ訪ねて行きました。 M 音楽（ Allegretto piu mosso) N 音楽（Andante)
語り 高い岩の段々を 息せき切って上りつめ 戸口の前に立った時 硬く閉まった戸のわきに 張り紙がしてありました。 O 音楽（Andante espressivo)
語り 「僕の友達 赤鬼君 人間達と仲良く暮らして下さいね」 「僕はもう 君とは会いません」 「もし このまま 君と付き合っていたら 君の事を村の人は疑うだろう それでは誠につまらない」 「だから僕は これから旅に出ます。」 「君の事は絶対に忘れない、、、」 「体を大切に、、、、、さようなら、、、」
語り 余りの事に赤鬼は信じられず その手紙を何度も何度も読み返し 戸口に顔を押し当てたまま いつまでも いつまでも、、泣いておりました。
終り
